vol.3「行け!大淀号」(2014.11)

つひまぶ 201411 行け!大淀号

2014年11月ドロップ。

これまで、多くの商業誌や地域誌がキタを取り上げてきたけれども、梅田や天神橋、中崎に中津…、その「キタ」のなかには、大淀が含まれたことはありませんでした。
空中庭園があるあたり、え?ここは福島区じゃないの?と勘違いしてしまいそうな、あのあたり。かつて大淀区だった、あのあたり。
いつもいつもないがしろにされていて、なきものにされているように見える「大淀」とじっくり向き合ってみたいな、というのが、今号の出発点でした。実際、大淀の人たちが、なにがしかの用事があって北区役所を訪れようとすれば、バスを2本乗り継がなければならないし、そのバスの本数も、ビックリするくらい少ないのです。
そんな思いから、僕はこの夏、大淀に通いました。スケジューラーを見ると、夏から秋にかけて、28回、大淀に通っていました。
大淀は、なにもないところです。たくさんの人にあったけれども、どの人も、「ここはなにもないよー」と、口にします。
ランドマークといえば空中庭園がある新梅田シティ。そこは魅力的だけれども、なんとなく、大淀というよりも梅田の飛び地というかんじがする。。
淀川? ええ、川ですね。
歴史的な建造物があるわけでもありません。このあたりは戦争で焼けちゃってるから、戦前からの古い建築物が並んでいるわけではない。
印刷や出版に携わる会社の工場はたくさんあります。でもそれは、一般に縁の薄いものです。
工場エリアと住宅地エリアがあるきりの、大雑把に言って、そんな場所です。
それでもね、何度も通っておぼろげながらも見えてきたものは、なんにもないと言いながらも、ここに住む人たちはこの場所を愛しているし、気持ちよさそうに暮らしているし、隣の賑やかな場所に対して特に嫉妬しているわけでもない、ごくごく自然体の佇まいでいる、ということです。
その気持ちのよさについて、どう言えばいいんだろうか。。。。
梅田や天神橋界隈で地域の活動に首を突っ込んでいると、争いごとに出くわすことが多々あります。
気持ちの悪いおカネが絡んでいることもあるし、メンツ、恫喝、野心、駆け引き…、腹に一物があることを感じることも多く、妙な渡り上手を強いられることも、多々あります。この人たちは、なんのために地域の活動をしているんだろうか?と、得体の知れない不気味さを感じることすら、あります。
翻って、大淀の人たち。
ここに住む人たちからは、そういう妙な気持ち悪さをかんじることが、一切ないんですね。
みんな、とても気持ちのいい人たちです。
どうしてなんだろうか、と、つらつらと考えながら取材を進めていくうちに、少しわかったことがあります。
大淀の人たちは、他人の財布、つまり助成金や補助金をあてにせずに、自分たちのことは自分たちでやる、と、あたりまえといえばあたりまえのことを、あたりまえのようにやっているように見えます。
地域にじゃぶじゃぶおカネを落としてくれる太っ腹な企業があるわけじゃない。区役所は遠い。そういう環境も相まってか、自分たちのことは自分たちでやる、って人が多いですね。
その代表格が、木下真弓さん。
地域のさまざまな団体の役を引き受けておられるのみならず、生協活動にも熱心に取り組んでおられる、いわば、大淀のスーパースターです。
いつか彼女の話をじっくり聞きたいと思っていたので、今回、それが叶って、僕はとても嬉しいのです。
仲良くもなりました。
彼女は、自分たちの安全で安心できる環境、平和を守るために、天真爛漫な笑顔を振りまきながら、闘っています。笑顔と朗らかさを武器に、闘っている人。とても、ラブ&ピースな人です。とてもとても、ラブで、ピースな人。
そういう人が大淀にいるという事実、そういう人と出会えたということだけでも、僕は、この号をつくってよかったなと思っています。
そんな大淀は、じつは、スポーツが盛んな地域でもあります。これも、取材を進めるなかでわかってきたことです。
巻頭の草野球チームDonveysは、名門の強豪チームであるのみならず、少年ソフトボールの監督や地域の祭りの若中がかかわる、地域とのつながりを密にしたチームでもあります。
PTAでつくるソフトボールチームは、年度ごとに人が入れ替わるのにもかかわらず、何年も北区ではブッチギチの強さを誇っています。
むかし、シンフォニーホールの前の公園は、扇型をした野球のグラウンドだったそうです。
その近くでは、セレッソ大阪の子どもサッカースクールが毎週練習をしています。
大淀中学校のハンドボール部は全国を狙う強豪にして名門です。ここで育まれたつながりは、そのまま地域活動のつながりに組み込まれています。
金蘭会のバレーボール、新体操も強いですね。
ハニーバー、出世温泉、喫茶Y、活版の大同印刷、カメヤマローソクのキャンドルハウス青山、喫茶Y、カレンダーの名入れの機会をつくっている日本唯一のメーカー・黒田鉄工所…、おもろいもんもたくさん見つけてきました。
ユニークな取り組みを続ける子育て施設「みつるポケット」もあります。
そして目玉は、大淀在住の建築デザイナー・Quiyoxさんによる超精密大淀イラストマップ!
とても濃ゆい濃ゆい、大淀がぎっしり詰まった一冊です。
区役所、区民センターほか、西日本書店や青空書房、いろんな場所で置いてます。PDF版もあります。ぜひぜひ、お手に取ってみてください!

contents

特集「大淀はスポーツでつながっている」
・おっさん野球団、今日も大淀を支える – 大淀中学校ハンドボール部/セレッソ大阪サッカースクール 大阪北校/軟式野球チームDonveys
・大淀を知る10のこと – ハニーバー/淀川の橋桁/大淀の兄弟神社/ビバ大淀/新梅田シティの田んぼ/レトロ物件/出世温泉/自動車整備工場が多いわけ/大同印刷所
・Quiyox作 OYODOイラストマップ
キタのええもん キタの手みやげ – キャンドルハウス青山のルミナラ
駅探 – JR貨物 梅田駅
そら、きっついわあ – 喫茶Y
モノづくり最前線 – カレンダー名前入れ専門印刷機製造・販売 黒田鉄工所
キタと彼女のラブストーリー (第2回)- 大淀東地域社会福祉協議会副会長 木下真弓さん
北区のちいき情報 – 大淀で活動している人たち

PDF

https://tsuhimabu.com/pdf/tsuhimabu_201411.pdf

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