vol.22「天満の手しごと号」(2023.5)

つひまぶ 202305 天満の手しごと号

つひまぶ22号、5月号が完成しました。すでに鋭意配布中。
今号は「天満の手しごと」号です。
ご存じの通り、江戸時代から天満市場や蔵屋敷が軒を連ねた天満から中之島にかけては、全国から物が集まる商業の中心地でもありました。
およそ〝産地〟のイメージからは縁遠い場所ではあるのですが、注意深く探せば、意外と、手しごとを生業とされる職人さんの息遣いが残るまちでもあるのです。
もっとも、「木工のまち」「紡績のまち」といったひとつのジャンルに特化してまちぐるみでなにかをつくっているわけではなく、業種を超えて、さまざまな種類の手しごとが残っているのが、この天満の特徴なのかもしれません。

というようなことがなぜすでに分かっているのかと言うと、じつは10数年前、北区役所が主導する事業で「北区職人研」という事業があり、北区で活動する職人に光を当てようという事業があったのでした。今号のつひまぶでは、そのときに得たつながりが元になっています。
あれから10数年が経ち、廃業された方、独立された方、役職や立場が変わった方などもたくさんいらっしゃったが、みなさん、どなたもお元気で、それこそ10数年ぶりの旧交を温める旅でもありました。

天神祭のころ、天満のまちには提灯が吊られ、祭りの雰囲気を盛り上げます。その提灯をつくっているのが、『提灯鋪かわい』さん。そもそも、提灯って、どうやってつくられるのでしょうか? そんな、提灯のつくりかたから、提灯のあれやこれやまで、根掘り葉掘り聞いています。

今では、天満といえば「天満切子」というくらいに有名だけれども、その歴史はじつはまだ浅く20年くらいのものです。故・宇良武一さんが切子工房を開いたのがはじまりで、『切子工房 昌榮』の西川昌美さんはそこで腕を磨き、宇良さん亡き後、天満切子の技を継承し発展させています。そんな西川さんに、薩摩切子や江戸切子と天満切子の違い、天満切子の良さを、つくりかたともに聞いてきました。

また、天神橋筋商店街には、手仕事を生業とされているお店が軒を連ねています。印鑑の「三枝堂」、包丁と鋏の「國重刃物店」、御菓子司の「薫々堂」、金網と篩(ふるい)の「藤為金網篩製造所」。こんな商店街は、日本全国広しといえども、天神橋筋商店街だけではないですかね?
それぞれのお店におじゃまして、工程などをお聞きしています。どれもこれもが長い歴史を誇るお店なので、いちいち深いです!

天満宮の前には、えべっさん役として有名な池田和夫さんが営む「池田畳工業所」があります。今となっては和室も少なくなり、畳業界も厳しさを増すようですが、なぜ畳は斜陽になりつつあるのか、そんななかにあって生き延びる術はなにがあるのか、そもそも畳はどうやってつくるのか、なぜ天満には畳屋さんが数多くいたのかなど、畳をめぐるあれやこれやを聞いてきました。

さて、その池田畳工業所の隣には今、岸和田のだんじり木彫り師である『木彫前田工房』の前田暁彦さんが工房を構えて、話題沸騰中です。
だんじり木彫りのすごさとともに、なぜ天満の地にやって来たのかなどをお聞きしています。だんじりの興味深い未来を聞くことができました。

そこから東へ数分歩くと、手製本のアトリエ『本のアトリエEIKO』があります。主宰されている中尾エイコさんは、手作り製本の魅力に魅せられて、この道40年。海外でいくつも賞をとっておられます。そんな中尾さんに、手作り製本の工程や魅力をたっぷりと聞いてきました。

まだあります。その近くには、『日本計器株式会社』さんが。こちらでは一般の温度計が正しく測定できているのかどうかを測る「基準温度計」なるものをつくっています。そして今は、試験をする立場にすらあります。超々高精度な世界もまた、はやり職人仕事で成り立っているという意外な事実に驚いてください。

ここで再び天満宮前に戻ります。「キタと彼女のラブストーリー」では、天満宮前にアトリエを構える『川村義肢株式会社 工房アルテ』の人工ボディ技師・福島有佳子さんにお話をうかがいました。超リアルな手や指、足等をつくる福島さんのこれまでの歩みは、壮絶のひとこと! 

コラム「キタの手みやげ」は、舌癌患者のために開発され、ユニバーサルに使える『猫舌堂』さんのカトラリーを。ここにもまた知られざる物語があるので、ぜひご覧ください。

天神橋筋商店街に構える不動産ショップ『プライマリー』の店先には、不動産情報の広告とともに南森町界隈のマップが、なんと6種類も用意されているのをご存じですか? まちを紹介する「南森町マップ」のみならず「ラーメンマップ」「グルメマップ」「カフェマップ」「パンとケーキとスイーツの地図」「子育てマップ」のみならず、春先に「お花見マップ」や「カレーマップ」も。なぜこんなにもたくさんの種類のマップを用意しているのか。コラム「北区マップ考現学」で紹介しています。

と、今号も盛りだくさんとなっております。
配架してあるのは、HP内「手に入るところ」を
https://tsuhimabu.com/?page_id=70

contents

特集「天満の手しごと」
『提灯舗かわい』さんに聞く「提灯ってどうやってつくるんですか?」
『天満切子工房 昌榮』さんに聞く「天満切子の美しさは映り込みの美しさ」
『藤為金網篩製造所』さんに聞く「規格にない金網や篩(ふるい)をつくる」
『薫々堂』さんに聞く「老舗御菓子司のいちご大福誕生物語」
『池田畳工業所』さんに聞く「あるときは畳屋さん あるときはえべっさん」
『木彫前田工房』さんに聞く「だんじり木彫りのすごいところ」
『三枝堂』さんに聞く「印鑑づくりのあれこれ」
『本のアトリエEIKO』さんに聞く「手製本づくりの楽しさ」
『國重刃物店』さんに聞く「包丁ができるまでと家庭で使う包丁の選び方」
『日本計器』さんに聞く「基準温度計と一般の温度計は何が違うんですか?」

・キタのええもん キタの手みやげ – 幼児から高齢者までいいさじ加減『猫舌堂』のスプーン
・北区マップ考現学 – 不動産ショップ『プライマリー』の南森町だけで6種のマップ
・彼女とキタのラブストーリー(第21回) – 川村義肢株式会社 工房アルテ人工ボディ技師 福島有佳子さん

PDF

https://tsuhimabu.com/pdf/tsuhimabu_202305.pdf

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